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新庁舎建設工事の着工時期を延伸することは誰のためにもならない


小金井市の庁舎問題を、あまりよく知らない方にも読んでいただきたい内容です。


庁舎建設を進める意味

現本庁舎は、老朽化が進み、耐震化・バリアフリー化が問題となってきた。 また、第二庁舎の賃貸借契約の早期解消(賃貸庁舎の早期解消+分散庁舎の解消)を目指しており、新庁舎建設を進めることで、長年の課題を解消することができる。

この話をかみ砕いていいますと、

現本庁舎は築55年が経過し、過去の耐震診断では一部NG判定が出ている。またエレベータがなく、階段でしか上がることができません。例えば市議会本会議場は4階ですが、みなさん気軽に傍聴に来てくださいと言えるようなバリアフリー環境ではない状況です。

現本庁舎 写真↓


また、第二庁舎においては、現在の賃料は隣接駐車場込みで、年間2億3,500万円、1日あたり64万円の賃料が発生している。所有者オーナーは地主さんから民間会社にすでに3回会社が変わっており、値上げ交渉や調停の行く末によって賃料がいくらになるか分からないという懸念がある。また、蛇の目ミシン工場跡地という購入した土地(種地)があるのに、賃借状態を30年間続けてきているという状況です。

第二庁舎 写真↓


だったら早く建ててよ、いつ建つの?これが市民の声です。

今はやっと設計が最終段階、まだ工事には入れていません。


ここで庁舎・(仮称)新福祉会館建設 過去5年ほどの経過をご紹介します。 水色字は「行政方針」

赤色字は「議会の対応・要請など」

平成28年10月「新福祉会館と新庁舎の早期建設を求める決議」を全会一致で可決 それを受け、同年12月市長報告「平成33年度竣工目標」を掲げる

平成29年10月「市民サービスの充実に向け、(仮称)新福祉会館の床面積の弾力的見直しを求める決議」退席除く全会一致で可決 それに伴い同年12月(仮称)新福祉会館機能に係る議員間討議⇒機能追加要望、床面積増床

平成30年3月設計会社に業務委託した庁舎等建設計画調査が納品され、 同年6月市長発言「CRE-2(既存の清掃関連施設を敷地内仮移設した上で、庁舎建設する施設配置案)、発注方式はデザインビルド方式(設計施工一括発注方式)、平成33年度末竣工」として基本設計業務委託に関する予算上程 同定例会において当該予算に対する付帯決議「DB方式から従来方式、清掃関連施設敷地内仮移設1億6,000万円のリース料の見直し要請」が可決 その約3週間後、発注方式の再検討結果として「工期短縮型DB方式から従来方式へ透明性・競争性の確保を主眼に市の方針を変更することに」 この時点で、竣工スケジュールは平成34年度末竣工(平成35年3月)へ1年スケジュール延伸1年

平成30年9月18日6会派12名の議員から「清掃関連施設の敷地内暫定移設は行わない・福祉会館の先行竣工・免震構造地下空間は駐車場として活用など」施設配置の検討案を作成したらどうかと申し入れがされる。 ⇒市の方針であったCRE-2案に今申し上げた条件(のちのC-3案)を加えた新庁舎等建設計画調査の追加予算713,000円を議会で承認 ※約2カ月の調査期間を経て、 平成30年11月市長発言「複合化整備方針を確定し、清掃関連施設敷地内仮移設(いわゆるCRE-2案)から清掃関連施設の敷地内暫定移設は行わない(いわゆるC-3案)へ設計条件を変更することになる。 これにより、工期は27カ月へ、5カ月のスケジュール延伸 (庁舎竣工平成35年8月に)

平成31年3月設計事業者選考・設計業務委託契約締結 市民参加として

◆市民ワークショップ

◆こがねいミーティング

◆市民説明会 開催 ときは令和に移り、元年9月定例会市長報告「概算コストが最も低く、かつ、新福祉会館の竣工が最も早い、連結免制震を採用」 令和2年2月 基本設計(案)完成 ※庁舎竣工 令和5年(平成35年11月に)  ◆パブリックコメントの実施 パブコメ結果を受け、この間、建物耐震構造やひろばに関する申し入れ等があり、 令和2年5月連結免制震は堅持・ひろばは実施設計の中で対応していくことに この時点で※庁舎竣工 令和6年(平成36年1月に)

令和2年9月(仮称)新福祉会館 管理運営計画策定委員会が設置され、市民の利便性向上への協議が始まる。

令和2年8月小金井市防災マップ改定 9月~浸水対策 対応協議 令和3年 第1回定例会 浸水対策の追加的予算 可決  ※これに伴い7カ月スケジュール延伸(庁舎竣工令和6年8月 付帯工事や移転準備で供用開始は令和7年1月、 福祉会館は令和5年7月竣工・供用開始同年11月へ) 令和3年11月16日全員協議会 実施設計による積算・VECD結果、建設工事費90・7億円の財源計画が示される 翌日の11月17日7会派16名により「建築確認申請(着工への準備行為)を行わないこと」の申し入れがあり、市長は検討時間をいただき今定例会中に場を持つと、着工への動きが中断した状況です。 申し入れ会派の要望として、庁舎建設は着工の前に、一定年数時間を置き前提条件の是正も視野に検討、市民生活に影響のない財政見通しを示すか、大幅なコストダウンに取り組むことを検討、詳細な部分では各会派の考えの違いはあるがその違いを調整するようにというものである。

またこの間、(仮称)新福祉会館 管理運営計画策定委員会は、中断している状況。 私は、意図的に着工時期を遅らせることとなるこの申し入れには賛同していません。むしろ、今こそ進めなければならない。その理由をご覧ください。


贅沢な庁舎が建つわけではないこと

まずは大幅なコストダウンが可能かどうか(↓資料一番上の表)

多摩地域において私が知るところ近年新庁舎を建設した自治体の市民1人当たりの延べ床面積を算出してみました。建設コストは、建築延べ床面積に大きく左右されますのでこの一覧を作りました。


本市を含め6市挙げてみましたが、上3つ青梅市、町田市、清瀬市はすでに開所、府中市は現在建設工事中、国分寺市は基本設計段階―床面積が確定しているわけではないので基本計画の最小値を載せています。そして小金井市は実施設計の最終段階の庁舎部分の面積13,793㎡です。 それぞれの庁舎の延べ床面積、今年11月1日の人口、そして太字の部分が市民一人当たりの庁舎延べ床面積です。 小金井市は他市に比べ市民一人当たりの延べ床面積が大きいかどうか、6市の中では一人当たり0.110㎡と2番目に延べ床面積が小さい。一番延べ床面積が小さい町田市においては、市内の支所・出張所の数11箇所を考えると、出張所等のない小金井市は市民一人当たりの庁舎延べ床面積は小さく、コンパクトな庁舎と見てとることができる。 巨大な庁舎を作ろうとしているとは全く言えません。ちなみに免震構造の庁舎は、全体の敷地が大きいかどうか関わらず地下空間を活用していることが分かります。 バリアフリーの観点から通路の広さや必要となるスペース等、現在の庁舎規模より増床の要因はあるものの、必要最低限に絞り込んできた延べ床面積であることから、大幅なコストダウンを図るには延べ床面積の大幅な削減が一番大きな要因と考えるが、それを達成するには現行設計から何らかの機能を削らなければらなければならない。 議会が求めた発注方式による建設コスト 当初の発注方式であったDBデザインビルド方式(設計・施工を一括発注する方式)とは一般的に、大企業しか持っていないような独自の技術・工法を設計段階から取り入れることで、コスト削減・工期削減に期待が持てる。と言われる。当時この市の見解に対して、議会からは、このDB方式では、工事着工時の市場価格を建設費に反映することがしにくく、事業費の適正さを担保できるのか、契約時の競争性も低くなるなどの課題がある。従来方式(設計と施工を分離して発注する方式)は、いわゆる時機に応じた透明性の高い適正価格となるとされている。また市内事業者の活用へ、より期待が持てるものである。発注方式については、当初のDB方式ではなく、従来方式を採用するよう予算の付帯決議として見直しを求め、それを市が採用した経緯がある

今回実施設計による積算90.7億円(金額割合→新庁舎:新福祉会館=およそ7:3)は、資材の高騰などにより当初概算から増額し、結果的に不満が湧くものの、この積算金額は議会の予算案付帯決議に対する合意形成を図るために本市が従来方式という発注方法を採用、算出し、時機に応じた現時点での「適正な価格」であると考えます。(一般的な工法による適正価格) 資材の高騰などの理由で基本設計時の概算から上振れしている自治体もあり、本市も例外ではありません。↑資料上から2番目の表は、結果どの程度の落札率になっているのか、コロナ禍において入札公告を行った都内自治体の例を一覧にしてみました。

いわゆる従来方式は、一般的な比較衡量として「競争性の確保」が期待される、と言われている。どちらの発注方式が適切かという場面で競争性についても同内容の指摘があった。受注意欲が高ければ、入札額も勉強した金額になる。また、その効果が高くなると一般的に考えるところです。 一方で、どの時点において競争性が最大限担保されるかは、これを予測することはかなり困難である。資材高騰の渦中であるならば、なおさら一定期間待つことの利点は薄くなる。 実施設計の積算で90.7億円(新庁舎 約60数億円)の建設コストが出ました。ということは、ここから意図的に着工を遅らせるということは、現時点から待った影響がどのくらいであるのか数字で比較することができてしまいます。

自前の庁舎であれば、ここは不問になるかもしれませんが、本市は、全国でも稀な賃貸庁舎であり、市の資産でない物に対して毎年2億3,500万円を投入している特有の課題があります。 例えば今から3年待つと偶然にも庁舎建設予定地にある清掃関連施設が移転して更地となり、建設工事の施工性が高くなり、コスト削減になるのではないかと考えてしまいます。しかし、第2庁舎賃料そして新福祉会館に集約予定の社会福祉協議会とシルバー人材センターの一部機能の賃料を合計すると、↑資料にありますとおり、毎年2億6,000万円発生 もし3年待てば7億8,000万円が必ず発生します。 単に工事の施工性が良くなるだけで、確実に10億円程度の影響額が見込めるのならば3年待つ価値は出てきます。残土置き場や作業ヤードなど工期・コストの改善は多少見込めるという担当部局の(11/16全員協議会)答弁あり。 この多少の改善見込みだけで10億円規模の減額は到底見込めないのであれば、建設コストの面で「着工を3年待つ」ということに利点は極めて薄い。3年と言わなくとも、一旦立ち止まるという行為をすることで、また、動き出す時には、その時機に応じた適正な価格を積算することに対して更なる調査時間と調査費用の予算措置が必要になる。 だとすると、一定期間待つと言っても、年数×2億6,000万円分の減額効果が見込めないと進めなくなる。どんどんハードルが上がり、タイミングが決められない状態が続いてしまうのではないでしょうか。 清掃関連施設が移転したらバラ色の世界が待っているとは言い難い、むしろタイミングを決められなくなるというリスクのほうが高くなる。 この状態で、起こり得るリスクを考えると賃貸庁舎の更なる長期化はもちろん、本来考えたくありませんが、現本庁舎の老朽化・耐震性・バリアフリーの問題についてもどんなリスクがあるか考えなければなりません。 現本庁舎はエレベータがない 現本庁舎は、耐震補強も大規模改修もされていない築55年が経過している建物です。 市議会だより等で「気軽に傍聴にお越しください」と載せていますが、バリアフリーの観点から著しく離れ、エレベータのない4階建ての建物に、ぜひお越しくださいとは私は言えません。 ある議員からは、本庁舎は4階建てであるにもかかわらず、エレベータもない、バリアフリーには全く対応していない。こんな庁舎をさらに使っては、障害のある方がどんな苦労をされているか。(7年前の議事録から) エレベータをすぐに設置できないのは、既存不適格建築物という理由である。設置するには現本庁舎を現行法令、現行規定に適合させるための改修がセットで必要であり、エレベータだけ付属させることができないということです。 また、↑資料下段にも抜粋を載せましたが、平成27年度に現本庁舎の耐震診断をして、一部にNG判定が出ています。地震の震動などで倒壊する危険性は低いものの、災害時にも継続した行政サービスを続けられるかどうかには疑問があるという建物。と当時の総務部長の答弁が出ています。 あれから6年経っています。 現本庁舎1階の耐震強度Is値が低下すると、場合によっては地震の震動及び衝撃に対して倒壊し、または崩壊する危険性がある値0.6の手前まで来ているかも知れません。 ある議員からは、新庁舎が建つとしても、あと何年かは使い続けるわけで、重要な役割を担っている部署が入っているこの本庁舎がぺしゃんこになってしまうようなことになったら、災害時に、市として機能しない。(7年前の議事録から) またある議員からは、耐震診断結果が出た後、耐震補強もしていない状況を指摘しながら、この本庁舎は市民の命を守るための対象になっているのでしょうか。という𠮟責もあった。(5年前の議事録から) 災害時に防災無線が使えなくなる可能性 現本庁舎について、地震の際、万一、停電・建物倒壊・躯体の破損や一部崩壊・立ち入り禁止となった場合に、市民の生命を守る役割を担う地域安全課がすべき災害対応業務の中で、困ること、できなくなる業務は何でしょうか。という12月2日私の一般質問での質疑に対して 災害対策本部設置までのタイムラグ発生、防災無線が使えなくなり(情報伝達に支障)、連動する個別受信機(市から有償貸与)からも音が出なくなるという答弁がありました。  防災拠点の意味:大地震後、構造体の補修をすることなく建築物を使用できることを目標とし、人命の安全確保に加えて十分な機能確保が図られていること、と言われています。 現本庁舎は、平時は業務に問題ないかもしれません。ただ、大地震の時、災害時、現本庁舎にもしものことがあったらというリスクは以前から言われています。担当課としては消防署・消防団の巡回パトロールなど、防災無線が使用できなくなった時の代替手段も備えているということでした。現本庁舎の耐震不足の点をもって、地域安全課やどこかの部署を責めることはしません。 ただ、市民からは防災行政無線から何も情報発信がない、さらに個別受信機を頼りにしている方はもっと不安になる、取るべき初動が遅れたりするかもしれない。このようなリスクがある状況を、まだしばらく続けなければならないとしたら、歓迎する方いますか? 市民の生命を守れるかどうかの問題において、新庁舎建設着工時期を延伸して、市民は喜びますか? 新庁舎の着工時期を延伸するならば、もうすぐにでも現本庁舎に手を加えなければならないのではないかとつい思ってしまう訳です。しかし、公共施設の個別施設計画には現本庁舎の改修・改築や長寿命化方針などは当たり前ですが載っていません。新庁舎建設が前提として作られているからです。 新庁舎建設に反対している議員はいないはずなのになぜ それでもなお現本庁舎に手を加えてこなかったのは、やがて新庁舎が建つからここにはお金をかけないでいよう、また議会もそれを黙認してきた経緯がある。 第2庁舎一日64万円かかる賃借庁舎の長年の課題もさることながら、老朽化・耐震性・バリアフリーに関する現本庁舎の問題、これは、誰が市長であっても、誰が議員であっても同じ。このままの状態で時間が過ぎていくことのほうが、行政も議会もどっちもどっち、市民の生命を守ることには消極的なんだと、市民に言われてしまいます。 下の写真は、一般質問の翌日に起きた地震で、和歌山県御坊市役所の窓ガラスや床タイル等が数十枚破損し、中に居た来庁者と職員が緊急避難した模様の画像

当該市役所も耐震不足が原因で、新庁舎建設中であった。

だからこそ、庁舎・(仮称)新福祉会館建設は最重要課題であって、一日でも早く解決することこそが、次のステップ(学校等他の公共施設の更新問題)に移るためにも重要である。 そして跡地活用(現本庁舎跡地、第二庁舎北側駐車場エリア、保健センター跡地など)の方策と、庁舎・(仮称)新福祉会館建設を進めていくことによる財政面プラス要素が今後期待される。 合意形成過程には、この間紆余曲折あったけど、大義があるからこそ私は前に進むほうを選んできた。

厳しい中でも庁舎建設の財源計画は立った、コロナ禍で心配する気持ちも理解する。ただ、みんな同じ方向を向いているのに、出した結果がまたスケジュール延伸ということになったら果たして、市民は喜ぶでしょうか? 庁舎・(仮称)新福祉会館建設の着工時期の延伸は、誰のためにもならないと申し上げたい。


小金井市議会議員

沖浦あつし

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